スタリ担、HE★VENSについて考えるってよ

 

「LIFEの瑛一って、HE★VENSしか知らない兄さんだよね」

 

そうヘヴ担のフォロワーに言われて衝撃を受けたことがある。

キングダム公開中に言われたことなので、結構前のできごとだが、今でも時折思い出す。なんでこんなに忘れられないんだろうと考えていた。なので、今回はこれに向き合って、瑛一を中心に、私の考えるHE★VENSについてまとめてみた。

 

 

たしかに、瑛一ソロの前曲の「STATE OF PERFECTION」(以下SOP)は、アニメの内容も影響してあの頃の少し狂気じみた瑛一の色が強い。

 

アニメから得た鳳瑛一という人についてすこし考えてみた。

 

自らの望む最高の音楽、その頂点にたどりつくために音也の心を抉り、内なる心理を引き出そうとした瑛一は、HE★VENSを駒呼ばわりするレイジング鳳と少し似たものを感じる。

音也がつぶれることなどありえないといっていたが、それはあくまで瑛一自身の価値観であり、実際のところ結構あぶなかったと思う。使い捨てる感覚のレイジング鳳とは異なるが、望むもののためには多少の犠牲をいとわない手口は似ているように思う。

あの出来事やNEXT DOORという二人のユニット曲は音也が真の笑顔の意味を見い出すために必要な出来事だったし、結果的に瑛一ってすげーな、と思ったけどやり方は少々手荒で、当時アニメを見ていたとき、あの回はトラウマだった。

しかし、父との違いは自己犠牲をするかどうか。

HE★VENSが監禁され、SSSに出られないとなったとき「心を石にして…」「屈するしか…」といったことを呟いていた。きっと、何度かそうして父に従ってきたのだろう。常にあの父と心理戦をしていたのかと思うとゾッとする。鳳家、やばそう(やばい)。メンバーはそんな瑛一の自己犠牲癖には気付いているだろうが、きっと瑛一が直接彼らにそんな面を見せようとすることはないし、メンバーも、そんな瑛一にたくさん救われてきたと思う。

そんな中でHE★VENSと出会えたのは、本当に瑛一にとって幸せだっただろう。父の願望を叶えつつ、音楽にひかれて集った仲間。瑛一が「完璧な国(SOP)」をつくるのに必要な仲間に出会わせてもらうことができた。レイジング鳳の組織を作る力や人を見る目は確かだと思う。

 

SOPのスコアに、彼は「エンジェルと共に目指す夢」と書いていた。「音楽に満ちた美しき世界」が彼の言う「完璧な国」なのだと思う。彼の考える「完璧な国」というのがどんなものなのか、とても興味がある。彼が思う国は、音楽の共鳴により集った人々をさすのか、それとも概念そのものへの憧れなのか。または両方か。

以前から瑛一は世界や国といった莫大ながらも自分たちで枠組みを作りたがるような、ある意味保守的な思考があるな、と感じていた。

ずっと幸せでいられる世界を創って、暖かいもので囲われて生きていたいのは瑛一自身なのかもしれない。その瑛一やHE★VENSが作り上げたものがこの世の頂点にいけば、誰も文句は言えない。父でさえ、干渉することはできない。その覚悟が揺らぎそうになったら自分自身にナイフを刺して律し、犠牲を払ってでも望みを叶える。SOPは、そんな覚悟のある歌だと思う。 

瑛一のつくる世界や国という名の箱庭づくりに賛同して集ったHE★VENSの皆も、今いる場所とは違ったところに居場所を求めている気がしている。

先にも述べたように、HE★VENSが集められたのはきっとレイジング鳳の手腕あってこそだと思っている。同じ音楽を愛する者たちで結成されているから、言葉や仕草よりもっと深いところで繋がっている。HE★VENS以外の人間と歌うことを「魂が穢れる」と表現するシオンを見るたび、HE★VENSがつくられたことの意味の答えが欲しくてたまらなくなる。

 

では LIFE〜with thanks〜 はどうだろうか。

SOPがアイドル鳳瑛一が目指す理想のアイドル像の歌だとしたら、LIFEはそんな鳳瑛一が今を生きている意味を表した曲だと思う。

この曲の収録されている「Anthem for the Angel」というアルバムは、賛美歌や聖歌、つまりエンジェルに捧ぐ歌をテーマに作られている。HE★VENSの全体の曲調や歌詞として、支配欲や独占欲のような、宗教〜〜!と言いたくなるような曲が多いけど、このアルバムに関しては全体的にエンジェルに対しての感謝、愛しさをテーマにして、優しかったり元気になれる曲調が多い。うそ。ナギだけめっちゃ宗教だったわ (大好き)

これまでのソロ曲とはガラッと雰囲気の変わったメンバーも多くて、なんでそんな変わったのだろう、と考えたとき、冒頭で話したフォロワーの言葉が思いついた。

 

瑛一が変わったから、みんなも変わっていけたんじゃ…?

 

アイドルとして瑛一のスタンスが変わったきっかけとしては、SSSの決戦ライブでQUARTET NIGHTST☆RISHと戦ってファンのために歌うことの大切さ、楽しさを音楽で表現することの素晴らしさを再確認したからだろう。新しいHE★VENSを試してみたいと思ったのかもしれない。

スター性の強い瑛一より、普段のHE★VENSのメンバーに見せているような父性に近い慈愛を感じさせる瑛一を見せることで、新しいHE★VENSとしての一歩目にしたかったのではないだろうか。これまでの個の強さを引き出す曲調より、HE★VENSの「家族」としての強みを生かす方向性を新たな可能性として出してみたかったのでは、と考えた。

皆、崇高なHE★VENSのメンバーとしての曲調から普段のメンバーの人間らしさや可愛らしさを感じられる曲調になっているし、このアルバムの選曲自体、結構な挑戦だったんだろう。

このアルバムのおかげでHE★VENSがより身近に感じたことは間違いないし、もっと知りたい、もっと聞きたいと思うことが増えた。「HE★VENSのことよく知らないんだよね」という人にはとりあえずこのアルバムを配り歩いていたぐらいには大好き。このイメージを絶妙に変更してくるあたり、鳳瑛一のリーダーとしての企画力や統率力は素晴らしいし、大手事務所だな、と感じる。

 

ついでにもう一人触れたい人物がいる。それは、日向大和。

ファンの中でも最初のイメージから大きく変わった人物のうちの一人ではないだろうか。大和は、ダンスも歌もアイドルとして高い水準を誇りながら、目の前の来栖翔くんではなくその先の兄をみつめて生きていた。どうしてそうなってしまったのか、その詳細は不明だけど、その闘争心は並外れたもののように思う。かなり大きなコンプレックスに突き動かされている気がする。

翔くんと戦うことでファンの声援がアイドルに与える強さを改めて学んだ大和。思えば、2000%のラストでHE★VENSの解散を引き止めたときも、ST☆RISHはファンからの声援を大切にしてほしいといっていた。アイドルにとって当たり前だけど忘れてしまいがちなことを改めて学んだ大和の歌う、OVER THE TOP

きっとはじめは純粋にアイドルになりたいという想いだったのだろう。その道を進んでいく途中で、兄の存在にぶつかって道が真っ暗になってしまって、自分が何をすれば良いのかわからなくなってしまった。その苛立ちの言い訳をするように、幼い頃から繰り広げられてきた兄との勝負にぶつけるようになってしまったのではないだろうか。それでも仲間への想いの強さはアニメでも見ることができていた。

「ここまで来るのに衝突することもあったが、それも大事なステップの一つだ。」「困難を乗り越えてこそ、掴めるものがある。」キングダムでのここのセリフが、まさにOVER THE TOPそのものだと、聞くたびにじんわり暖かくなってしまう。そうやって人に語れるぐらい、彼はあの時の自分を昇華できているのだと。

いろんな人たちに支えられ助けられていることを、大和はきっともう忘れないだろう。だからこそ今その背中が大きく逞しく見えるのだと思う。本来の彼は、そういう芯の強さを持つ人であったら良いな。

そして、彼のもう一つの曲の「人生 on Sparking!」  この曲を好きな人も多いのではないだろうか。今だからこそ大和らしい曲と言えるけれど、アニメを見てすぐにそんなことは思えなかったと思う。

ブックレットにあるこの曲に対する大和のコメントが本当に好きで好きで、何度も読み返してしまうのだけど、特に「流れに身を任せ、声を上げりゃ、おれたちの世界ができあがる」「人生を楽しめ!!」の部分が好き。人生を楽しめと言えるようになった大和は本当に憑き物がとれたみたいで、高い壁がつくる影に埋もれている自分から、一歩日向に出て明るい空を見上げることができるようになったんだな、と感じる。大和の言葉には嘘偽りが何一つないと感じられるからこそ、あの時の大和もどこか憎めなくて、今の大和がこうしてエンジェルを「仲間」として呼んでくれることが、全ての答えに繋がっているのだと思う。

 

 

「終わることのない幸せが溢れる場所」がHE★VENSの歌う桃源郷なのだとしたら、愛を捧げよ〜the secret shangri-la〜は桃源郷に賛同する者のための歌と言える。

視覚、聴覚はもちろんのこと、同じ匂いを纏わせることで嗅覚を刺激し、かじりついた甘さと表現された味覚、ベルベットの手触りまで想像させることで五感を刺激する歌は、本当に、一度聞いたらなかなか忘れることができない。

この曲の中で気になっている箇所がある。

「希望湛えたロゴスから 命咲き乱れ 細胞から煌めく」のCメロのラストの部分。ここのロゴスという意味を、なんか哲学の授業でやったことあんな、ぐらいにしか思ってなかったのだが、改めて調べるとHE★VENSの始まりに結びつけるのではないかと思った。

調べた限りだが、ロゴスとは非常に意味が多く、主に言語・言葉を意味する。宗教によって用いられ方や捉え方は違うが、神のもつ言葉の力そのものとして捉えられ、神の放った言葉によってありとあらゆるものが創造された、とする宗教もあるらしい。

つまり、HE★VENSは神とされる誰かの言葉によって希望を満たされ、そこから生まれていると言っている。この神がレイジング鳳なのか、瑛一なのかはわからない。不滅のインフェルノでは「ホンモノが持つ天性 認めさせよう 神だって関係ない」と歌っていることから、おそらくレイジング鳳のことなのか…?目的が私的なことにしろ、やはり彼の人を見抜く力や大手事務所のトップに立つ実力としては確かなのだろう。

 

こんな文章を書きながら、どうしてHE★VENSは初めから7人で活動できなかったのだろうか、どうして綺羅と瑛一とナギの3人だったのだろうか、と考え続けているけど、納得できる答えはでない。そのときにふさわしい形で音楽を表現する、と綺羅は言っていた。新人としてデビューするのにあの3人がふさわしかった理由が今後語られることに期待したい。

 

基本的にコミュ力の高いST☆RISHよりも、もっともっと個性が強くて、「自分たちの居場所」と最年少が言ってしまうぐらいには孤独を感じて生きてきたのだと思う。なんども危機的場面に追い込まれても絶対にレベルアップして帰ってきてくれる。変化を恐れず、愛を囁いてくれるHE★VENSに、これから何度も魅了されていくのだろう。

本当は瑛一や大和だけでなく全員について書いてみたかったが、あまりにも私は知識不足なので、是非各担当の人の意見も聞いてみたい。(ナギについては以前に書いたことがある。)

ヘヴ担の方々からしたら、何を今更、と言われてしまうようなことばかりだったかもしれないが、これを書くことで私の考えるHE★VENSをまとめることができて、より彼らを好きになれた気がする。

同じように、HE★VENSに興味を持ってくれる人が増えたら嬉しくおもう。

 

最後に、

 

帝ナギは天才。

 

最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。